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岬の兄妹のColのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
2.5
噂では重い話だと聞いていて、少し身構えながら鑑賞。

各国の重い映画・刹那的映画は数多くみて来ている自分。映画冒頭15分観て「ちょっと走っているな」ていうのが率直な感想。

足の悪い兄、知的障害を持った妹。貧困どん底の生活のシーンから開始される映画冒頭は兄と妹の喧嘩のシーンから入る。ややオーバーアクトかなと感じたところからイメージしていた内容と違うのではないかという思いが過ぎる。比較的ショッキングシーン多めに感じた作品。狙いすぎとは思ったがただ海外から見ればこれぐらいの演出のほうが伝わるのかと鑑賞を続ける。概ねこの映画を見ている人は中流家庭の人だろうし、“遠くて近いどこかの家庭の話”くらいみることになるだろうこの作品。その兄妹が何故生活苦に陥ったエピソードもない為、共感性も低く、日本社会背景や格差社会などにも矛先を向けることができず只々下衆な兄貴を見届けるにような結果に感じてしまった。兄を擁護したくなる気持ちもないわけではない、ラストに向けても救いの余地もあった気がする。ただショッキングな内容で持ち上げたハンマーをしっかりと振り下ろす場所までは設けられていないラストには感じられた。訴えたいものがしっかりあるのならもう少し丁寧なバランス調整をとったほうがリアリティを増し真摯にみる側に伝わるものだと感じた。

引き合いに出して場違いかもしれないが、かの鬱監督で有名なラースフォントリアー 監督作品『奇跡の海』は、割と近い設定だったかと思うがそんな監督でもラストあっての作品に仕上がっているのに。
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