LEO

馬上の二人のLEOのレビュー・感想・評価

馬上の二人(1961年製作の映画)
4.0
軽妙でテンポの良い会話のやり取りで始まり軽いタッチのストーリ展開が続くからコメディ西部劇かと思っていたものの、砦に着いてからはガラッと変わる。
インディアンに拉致された被害者を救出する話へと変わっていくのだ。

ネイティブ・アメリカンは野蛮で残酷で悪者、いわゆる昔ながらの悪い意味での伝統的な西部劇。
でもこれはインディアンの文化とかが大好物の自分に言わせると、アパッチ族と同様に非常に好戦的な略奪部族であり、他部族や白人から人や物資を略奪し、そしてそれら物資と奴隷の売買が生業の典型的なホース・インディアンだったコマンチ族を相手にする話だからある意味しょうがない。
事実だし。

ただそれだけで終わらなかったのがこの作品の凄いところだ。
正直、拉致被害者が助けられるまでの間に先住民に同化してしまっているなんて事は考えたこともなかった。
そして同化していなくても、周りからの好奇の視線と差別が待っているなんて…。

いやぁ言われてみればそうだよなぁ。
「野蛮で残酷と蔑んでいる連中と何で平気で暮らせていたのか?」
「何で平気で同じ物を食べていたのか?」
「奴らの子供は産んだのか?」
「何で死ななかったんだ?」
ただでさえ白人至上主義の国だもの。
未だに「America First」「America is No.1」とか言って国境に壁作っちゃう奴が大統領になっちゃう国だもの。
しかもまだ文化が未成熟な時代の話だもの。

その国の1961年の作品が、こういう問題に真正面から向き合っているのは考えられないくらい凄い!
1964年にはミシシッピー・バーニング事件が起きちゃう数年前にだよ!?
凄いよジョン・フォード監督。

最後はガスリーとエレナが幸せになってよかった。
LEO

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