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パスト&フューチャー 未来への警告のesのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

数字に囚われた主人公が繰り返される運命から魂を解放させようと奮闘する話。
人物描写もしっかりされていて、地味だけれど各キャラクターに設定をしっかりと色付けかなり丁寧に作り込まれた作品だった。

1913年に53歳の男が銀行で起こしてしまった事件で42歳、21歳、32歳、10歳、そして犯人自身が自殺しその場に居合わせた5人全員が亡くなった。その後もある法則に従って繰り返される悲劇。42年後の1955年には同日同じ場所で42歳が殺され、21年後の1976年には21歳、32年後の2008年には32歳の友人が昏睡状態、次に死ぬ運命にあるのは10年後の2018年。10歳の子供が死ぬ。
死ぬ運命にあるのは自分だったと気がついた時の主人公の選択が実に数字に囚われた人間らしくて良かった。自分が運命を変える選択をするのではなく、連鎖を断たずに未来に託し未来で断つ。自分の命と引き換えに証明する。数学的天才であり統合失調症の人物設定に反しない行動。
それ以外にも設定がしっかりしていて行動に違和感があるキャラクターがいなかった。
この物語で鑑賞者が一番苛つく対象であろう10歳の少年の母親も、元夫に接近禁止令を出している辺りDVを受けていて勇気を出しやっとの思いで息子と逃れてきたのかもしれない。虐められている息子に勇気を出すことを学ばせようと固執するのも性格的におかしくはない行動。

とは言え、登場する30代くらいの女性が全て誰かの邪魔をする存在であるので、脚本家の心の傷かもしれないと気になってしまった。
10年後の4月12日に店主に店を閉めるように伝えた方が良かったのでは、と思ったけれどまぁそこは…。
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