ユンファ

太陽は動かないのユンファのレビュー・感想・評価

太陽は動かない(2020年製作の映画)
4.1
とりあえず何かを沈没させないと気がすまない男、ハスミンの劇場映画最新作。
僕はハスミンの撮るアクションが大好きで、MOZUシリーズは繰り返し繰り返し鑑賞している。と言いつつ、「海猿」は開始5分で消したので一回も観たことがない。
「花束みたいな恋をした」の菅田将暉みたいな自称映画好きは、ハスミンの映画もそれを好きな僕のような人間もケッて感じだろうが。

確かに、感化出来ないレベルのシナリオの粗さ、長過ぎる過去編によるテンポの悪さ等いただけない部分は多い。鷹野の過去編はどう考えてもドラマ版である程度消化しておくべきだったし、それによって浮いた尺をメインとなる任務のディテール描写に割いた方が良かった。現在の任務編と鷹野の過去編の両方を描こうとした結果、収まりが悪くなってしまっているのだ。
ドラマ版では丁寧に描かれていた竹内涼真はほとんど空気だったし、超絶カッコ良かった市原隼人もあんなことに…
そもそもWOWOWのドラマ版を観ていないと完全には楽しめない時点で厳しい。ドラマ版の鑑賞は必須ではないが、例えばドラマ版未見でフィルマ3.0点の人がドラマ版を観ていれば4.0点くらいにはなるかもしれない。

素晴らしいのは、やはりアクションシーン。
ハリウッドにも負けないどころか、冒頭のカーチェイスや終盤の列車アクションは、金がかかっているだけで中身ゼロの昨今のハリウッド製ポンコツアクション映画の1000倍は良い。ハスミンはハリウッドに渡ったら、マジで天下取れると思う。やっぱ好き。
「MOZU」も「太陽は動かない」も何が良いって、リュック・ベッソン作品に感化された中学生が、粗ありまくりのシナリオをその初期衝動だけで映画にしてしまったみたいなアツさがあるところ。
ヨーロッパのどっかの広場でカーチェイスしてえ!とか、ヨーロッパのどっかの列車に飛び乗りてえ!とか、バカバカしい妄想の具現化を嫌いになれる筈がない。
個人的には鷹野の過去編も結構好き。おっぱいではなくケツを見に行き、ゲーセンではなく滝でデートなんて、高校生のくせに仙人みたいな奴で好感が持てる。
興業的にはかなり苦戦を強いられると思うが、全部エヴァンゲリオンの所為にして、ぜひ続編をやってほしい。
ユンファ

ユンファ