2020年107作目(劇場28作目)
哀哭のバイオレンスホラー。
主演の女優さんがとても素晴らしかったです。
まるでサナギの中でじっと耐え、力強く羽化し、
鮮烈に羽ばたき、散っていく蝶の生き様のように、
泥臭くもとても美しい復習劇をやりきってくれました。
全編通してかなり過激な暴行シーンが多く、
オーストラリアの映画祭で上映されたときには、
30人もの観客が途中退出したほどです。
ただ本作は単なる復習劇だけではなく、
人種差別や性差別のキーワードも組み込んでいます。
劇中で主演のクレア(アイルランド人)と、
途中でクレアが出会う黒人のビリー(アボリジニ)は、
共通の敵から人種や性の差別に遭っていました。
二人が“同じ人”として理解し合い敵に立ち向かう時、
アイルランド人とアボリジニのプライドが、
結びつき始める終盤はなかなか見応えがあります。
それを踏まえてタイトルについて考えます。
西洋のウグイスとも言われるほど
鳴き声の美しいサヨナキドリという鳥がいて、
その鳥の別名がナイチンゲールというらしいです。
イギリス軍隊という籠の中で囚われていた、
美しい容姿と歌声の主役であるクレアの存在から、
取られたタイトルだと考えると鳥肌が立ちますね。
本作はこういった重いテーマを持ちながらも、
見た後には何とも言えぬ爽快感を感じれます。
万人受けする作品で無いのは確実ですが、
是非とも映画館で見てほしい作品です。