ショウキ

ナイチンゲールのショウキのレビュー・感想・評価

ナイチンゲール(2019年製作の映画)
3.8
2020年107作目(劇場28作目)

哀哭のバイオレンスホラー。

主演の女優さんがとても素晴らしかったです。
まるでサナギの中でじっと耐え、力強く羽化し、
鮮烈に羽ばたき、散っていく蝶の生き様のように、
泥臭くもとても美しい復習劇をやりきってくれました。

全編通してかなり過激な暴行シーンが多く、
オーストラリアの映画祭で上映されたときには、
30人もの観客が途中退出したほどです。

ただ本作は単なる復習劇だけではなく、
人種差別や性差別のキーワードも組み込んでいます。
劇中で主演のクレア(アイルランド人)と、
途中でクレアが出会う黒人のビリー(アボリジニ)は、
共通の敵から人種や性の差別に遭っていました。
二人が“同じ人”として理解し合い敵に立ち向かう時、
アイルランド人とアボリジニのプライドが、
結びつき始める終盤はなかなか見応えがあります。

それを踏まえてタイトルについて考えます。
西洋のウグイスとも言われるほど
鳴き声の美しいサヨナキドリという鳥がいて、
その鳥の別名がナイチンゲールというらしいです。
イギリス軍隊という籠の中で囚われていた、
美しい容姿と歌声の主役であるクレアの存在から、
取られたタイトルだと考えると鳥肌が立ちますね。

本作はこういった重いテーマを持ちながらも、
見た後には何とも言えぬ爽快感を感じれます。

万人受けする作品で無いのは確実ですが、
是非とも映画館で見てほしい作品です。
ショウキ

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