せりな

ある画家の数奇な運命のせりなのレビュー・感想・評価

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)
3.0
3時間あるだけあって、1人画家の人生をとても丁寧に描いている。
こういうことがあったのかなと想像させずに全部描いている感じ。
伏線回収までがとても長いけど、芸大や美大などでアートに関わっている人には共感できる部分も多いんじゃないかな。
タイトル通りの数奇な運命ともいえる、何かに導かれるように人生を歩む主人公。モデルのリヒターはどこまで事実かどうかを明かさないことを条件にしているので、どこか謎めいた雰囲気もある。

真実はすべて美しいという言葉に導かれて、自身の主題、表現方法をを見つけ出すシーンと、偶発的に義父を動揺させていくシーンはこの映画のテーマをよく描いていると思った。
美大で絵を学んでいるシーンがたくさんあるので、絵をたくさん見れるのも良かった。迷いのない線を引く姿は見ていて気持ちが良い。
あと、カット割りが絵画を意識しているのか絵になるシーンが多かった。

ナチス時代の退廃芸術のことや、東ドイツの状況やベルリンの壁ができる前後のことを知っていると時代の空気感がよくわかるじゃないかなと思いました。近代美術が好きな人にもお勧めできると思います。
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