ロク

7月22日のロクのレビュー・感想・評価

7月22日(2018年製作の映画)
4.0
今週末から公開される北欧の福祉国家ノルウェーで2011年7月22日にオスロの政府庁舎前に止められてた車に仕掛けられた爆弾で8名、40キロ離れたウトヤ島でサマーキャンプに参加していたノルウェー労働党青年部の若者達69名が無差別に殺害された連続テロ事件を描いた実録映画「ウトヤ、7月22日」の予習として鑑賞。ウトヤ~の方はウトヤ島で起こった無差別殺害事件を中心に描いた作品に対し「ボーン・アイデンティティ」シリーズのポール・グリーングラス監督が手掛けた本作はテロ事件当日から逮捕、裁判までを被害者達の遺族や奇跡的に生き残った生存者、実行犯の心情に迫った内容で描いた作品となっています。序盤のテロ事件再現場面の寒気がするほどリアルな描写、裁判での怒りと悲しみに暮れる被害者遺族の心情と微塵の反省もみせずふてぶてしい態度を取り続ける犯人ブレイビクへの怒り、銃弾を受けながらも奇跡的に助かって裁判所に現れブレイビクと対峙する生存者の男の子の心情などを気骨溢れる演出で見事にまとめ上げた職人監督ポール・グリーングラスの腕が光る骨太な作品でした。しかし、ノルウェーは死刑も終身刑も無いため単独の犯行でノルウェー史上最大の死者を出したにもかかわらずブレイビクに下されたのは懲役21年の実刑判決という極めて軽いもので収監される刑務所も以前テレビのドキュメンタリーで見たのはノルウェー近郊の島にある更正施設のような作りの所で受刑者は鎖にも繋がれずテレビなど家具家電もある一軒家に住みながら畑耕したりしながら過ごしているノンビリした生活を送っていて腹が立ったし、後14年くらいで出所するという事実を知った時には空しい気分になりましたね。
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