1970年メキシコ。家政婦をしているクレア。床に流れた水に映る小さな空に飛行機が飛んでいる。素晴らしく美しい。室内のどこか傍観者のような見渡す視線が、クレアと同じに家族とは違う他者の目に見えて悲しい。
大勢の中で一人きり奇跡を体現するクレア。恋人からの残酷な仕打ちと、思ってしまった自分のその気持ちの吐露。救った命と旅立った命と。
もうぶつからない小さな車。でも犬のウンコは踏む。これからも。ROMAとAMOR。
メキシコは1968年にオリンピックがあり、五輪の直前には軍と警察による反政府勢力の虐殺トラテロルコ事件があり、ここでチラリと描かれたのは血の木曜日事件なのね。