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記憶にございません!のamuのレビュー・感想・評価

記憶にございません!(2019年製作の映画)
3.5
私の中で三谷幸喜はパクチーみたいな人で、クセが強くて、ゴリ推してくる。苦手だ。

三谷幸喜もパクチーも存在しない世界だっていい。なのに気がつくと三谷幸喜脚本の作品に夢中になっていたり、グリーンカレーにはパクチー要素が無いと物足りない。

経験上酷くわかりやすく現れたのは、NHKの大河ドラマである。私がまともに大河ドラマを観たのは、2004年の「新選組!」が初めてで、脚本が三谷幸喜だった。ちょうど幕末の勉強をしていたことと重なり当時めちゃくちゃに新選組にハマった。史実をそのままやるだけでなく、三谷ワールドに変換されつつも、きちんと人物一人一人が丁寧に描かれていて、山南敬助の切腹の回では人生最大に号泣し、この記録は塗り替えられていない。

その後、どんなに好きな人物をフィーチャーした物語でも、ひとつとして大河ドラマを一年を通して夢中になれたものは無かった。2016年の「真田丸」で三谷幸喜が脚本を担当するまでは、。

私は苦手嫌いと思っているのに、気がつくとすごく惹き込まれてしまっている、、三谷幸喜に。悔しいような、どう表現していいのかわからない変な気持ち。

それって凄い好きじゃん!
…って思うと思うけれど、あまのじゃくとか素直になれないのと異なり、本当に好きじゃないのです!笑
じゃあこの感情はいったい何なんだろう、、、、というのが、私の中の三谷幸喜問題です。(知らんがな。)

パクチーみたいに大クセのものに対する恐怖にも似た、本当はとっくに受け入れているのに好きというシンプルな感情が湧かないという、三谷幸喜め、、恐るべし!

で、今作のこと。
これ主演が佐藤浩市か妻夫木聡、古いところで香取慎吾だったらすぐ三谷作品だって気づいたんですが、三谷作品と知らずに手を出しました、、(その時点でもう三谷幸喜にやられてしまっている!)

だけど見始めて即、あ、これ三谷幸喜だろ!と気づけちゃうあたり、ちゃんと独自の、そして独特のワールドを持っているところに三谷幸喜のパクチー感がある。

全体的にはイメージしていたストーリーとは違かった。総理大臣や政府を揶揄しまくり、めちゃくちゃに腹黒い中井貴一を演出して笑いをとってくると思っていたんですが、馬鹿にしているようで、人間味に触れてじんわりさせるような、なんだかいい話だった。ああ、それが三谷幸喜が夢中にさせる、させてくれる魅力なのか、。と、ちょっと気付けたような気もした。

こんな政治家が日本をまとめてくれたら少し希望を持てるなぁ、と思った。やっぱりお金が人を狂わすのだろうか。嘘はついちゃいけない、人を敬い、自分に素直に生きる。政治家に限らず、人として生きる当たり前が詰まっていたように思う。

キャスト勢について。

中井貴一の死んだ目が総理感あった。
ディーンフジオカの演技初めて見たけど東出昌大ばりの棒でびっくりした。
小池栄子は世論評価高めの印象あるけど、顔も演技も押しつけがましくて苦手。
ROLLYはどんなに変装してもすぐわかる。
佐藤浩市、歳とったなぁ、。
草刈正雄はなんだかずっと変わらない。
斉藤由貴は無条件で苦手。
石田ゆり子は一生可愛いな。
ジャルジャル後藤もなかなか良かった。
田中圭ちとやりすぎ感あったけど、笑いのスパイス欲してたところにちょうど良い粉チーズ感。
吉田羊、まじ、何でも演れるなこの人。
木村佳乃も。

こんなところですかね。

福田雄一といい、三谷幸喜といい、おじさんは俺感がつよい。人間味を描くという点や、恐らく頭の良さが福田雄一には無い三谷幸喜の魅力なのだろうなぁ、。他人と比べるなど無意味だとわかっているが、こと三谷幸喜に関しては他人と比べるとこの人の凄さが剥き出しになるような気がしている。誰とも比べずに、三谷幸喜単体をいつかちゃんと好きだと言えるようになりたいと思っている。
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