うたまるさん

記憶にございません!のうたまるさんのレビュー・感想・評価

記憶にございません!(2019年製作の映画)
3.3
いいですね〜、三谷映画の良いところ満載ですね。

安心して観られるのが三谷幸喜映画の良いところ。
リアルを追求し過ぎてドロドロの映画が多くなってきている昨今、人も殺さず、キョーレツな悪役も居ない映画でまったりするのも良いものですよ。

さて物語の方はというと、中井貴一演じる嫌われ者の内閣総理大臣黒田啓介が聴衆の投石を受けてしまう。その彼が病院で目覚める所からストーリーは始まる。
状況が全く把握出来ずに衝動的に病院を飛び出すが、自分が誰なのか、どうしてここに居るのか、全くわからない…記憶がないのだ。
記憶を失くした総理は周りの秘書達に支えられながら復職するが、元の自分の人格に驚かされるばかり…。国民支持率2%台の最低最悪な彼が何故真っ当な人格で自分を俯瞰出来るのか、それは彼の中学生以前の記憶が残っていたからなのだ。
純粋な気持ちを持っていた黒田少年からすれば、今の政治は間違いだらけ。それを改めて正していこうと考えるのだが、それを阻む存在が…。果たして黒田総理は国民に喜ばれる政治ができるのか。

タイトルの「記憶にございません」とは昭和の時代に政治家達が窮地に立つと連発し、世論をざわつかせた名台詞。そんな言葉を使って誰もがわかりやすいコメディに仕上げている。
やっぱり、大切なことは「わかりやすさ」じゃないかなぁ。
ストーリーは全体を通して「わかりやすさ」を強調している為、この内容ならテレビドラマでもいいんじゃないかと思える内容なのだが、そこは三谷映画ということで出演を快諾した大物俳優達がずらりと揃っていて華がある。
中でも、他のドラマや映画ではこんな役しないでしょ⁉︎と思えるようなキャスティングも面白みの一つ。

疲れていてもスーッと観れちゃう優しいハートフルな映画です。
うたまるさん

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