セガール幹事長代理

いい匂いのする女のセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

いい匂いのする女(2016年製作の映画)
2.0
『花束みたいな恋をした』のレビューを書いたことがあるんですが、それに対する『男女のほろ苦い想いを理解できない恋愛初心者、否、人間初心者の畜生はまずこれを魂に刻め』というクレームと共に、この映画をお勧め頂きました。
フォロワーのnac◯氏、ありがとうございます。

本作は脳まで性欲に支配されているエリートサラリーマンがセフレに惚れ込み、人生の螺旋階段を転げ落ちる様子を描く映画です。

不器用な二人が出会い、愛を育む。その過程に芽吹く小さな溝。
溝に気付かないフリをして同棲・結婚へとステージを進めようとするズレた男の行動や未来の幸福を前借りするような自転車操業的性交渉から、観賞サイドの不安を煽る演出は一見の価値有りと言えるのではないでしょうか。
高校の現代文の授業で「寄り添った二人の手元にあるコーヒーは冷め切っていた、という文脈の『コーヒー』というキーワードが二人の今の関係を表している」と教わり、んなもんコーヒー忘れてペッティングしてるだけだろとボケが、と難癖つけていた若い頃の自分を叱責したくなった。

特筆すべきは『正面からだとモザイクが仕事してるのに、横から見ると金玉がモロ出し』という、男女間における心のうつろいを、違った角度からしか視認できない生殖器官で表現する手法である。
『いやモザイクが仕事忘れただけ』という愚かな指摘が散見されるが、己の見識の狭さを認識すべきである。

『人命以外失ってはいない』という独裁者スターリンの言葉があるが、我々は映画観賞において『時間以外失ってはいない』のである。
どうせ時間を失うのなら、随所に散らばる吹けば飛んでしまいそうな細かな表現を見つけてみてほしい。

付き合いで高スコアつけたけどぶっちゃけ『花束~』合わなかったわー、って人は是非こちらをご覧ください。
僕はダメでした。

いつもこの手の映画にノリノリで付き合ってくれるフォロワーのパパ氏に感謝申し上げます。