ikumatsu

永遠の門 ゴッホの見た未来のikumatsuのレビュー・感想・評価

4.0
青山シアターオンライン試写会にて。

眼球に痛みが走るほどに眩しい光を感じる。木々の隙間から。麦わら帽子の網目から。目に映る全てのものから。絵具をこぼしたような青い空、影になり黒にも見える葉、身を預けてしまいたくなるような黄金の草。光の反射で自分が色を認識していることを思い出す。

ゴッホの目にはもしかするとこんな風に映っていたのもしれない。そうだといい。凍えるような霧がかった灰色の街からゴーギャンと共に思いを馳せた、燃えるような自然の一部に。

わたしにとって映画を観ることは、知らない世界への旅だったり、非日常の刺激に触れることだったり、誰かに会いにいくことだったり、様々だ。いずれにしても手のひらで感情の絨毯を撫でることに他ならない。

今は亡き絵の恩師に会いにいくためにこの映画を観た。でもわたしは、少しの時間ゴッホの目を通して生きた。

そこに感じたのは、光と悲しみ。

「僕は悲しみに喜びを見出す」と言いながら筆を動かし続けたゴッホ。伝記というには偏り過ぎているかもしれない。でも一瞬だけゴッホの感じたかもしれない光と悲しみを撫でることができた気がした。
ikumatsu

ikumatsu