ゴッホやゴーギャンものはよく映画化されてますが、本作は晩年のゴッホのリアルな生活感に重きを置いたもの。彼とテオとの関係、画作に関すること、謂れなき中傷など、実際にこうだったら?というシーンに仕立てています。パリの風景、田園の風景、どちらも余計なものを省いて写実的に描いている。
ゴッホがシェイクスピアを語るシーン。「謎に満ちている」から好きという彼の主張と、話し相手の女性との隔たりは、そのまま彼と世間との感覚のズレになっているところは切ない。時代を先取りしすぎたゴッホですが、関わる人々との間に円満な人間関係を築くのが苦手だったことも困窮から抜け出せなかった一因と思います。
ゴッホの生涯には諸説ありすぎるほどある中で、アルル〜黄色い家の時代から最晩年までをドラマティックに切り取った構成は成功していると言えるでしょう。
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