ぽち

モンスターズ 悪魔の復讐のぽちのレビュー・感想・評価

モンスターズ 悪魔の復讐(2018年製作の映画)
3.5
実際にあった有名な未解決事件を独自の解釈で描いていて、そのアイディアとキャラ造形はフィクションとして楽しめる上質のサスペンス作品。

特に主役二人のキャラクターは魅力的。

実際には被疑者のリジーは証言がコロコロ変わったり、青酸カリを買おうとしていたりと真っ黒で、本作が描く「知的で計画性のある犯罪者」とはほど遠い人物だったようだ。

無罪となったのも陪審員が全員男性だったり、彼女の検視証言全体が裁判から排除されたり、直前に斧による殺人がその地域で起こっていたりと、幸運が重なったため。

リジーがレズビアンであったことが1904年頃発覚し、今作ではそこを膨らませてメイドとの共犯としていて、このおかげで二人の艶のあるシーンが観られた。
おまけに二人そろっての乳出しシーンはサービスだろう。

メイドのブリジットが去ってしまう動機が弱いのがマイナスだが、史実に合わせるとこれしかやりようがなかったと思われる。

実際のリジーがふっくらした美人で、似た女優を使ったほうが良かったかも。
クロエの知的な感じはキャラに合っているが、実際のリジータイプの方が意外性があったかな。

邦題は最低の部類に入る。
複数形だから二人をさしてモンスターと言っているのだろうが、まったくモンスターではないし、誰が誰に復讐したのか聞きたいぐらいだ。
そのまま「リジー」でいいでしょ。

なにも前知識なしでも十分楽しめるが、ちょっとググってから見るといっそう面白い作品。


余談。
この事件は、アメリカで初めて報道が過熱した新しい現象として、記録に残る物となったそうだ。
O・J・シンプソン事件の裁判にも匹敵する過熱ぶりだったそうだから、全土の注目度はマックスだったのだろう。

裁判後実際には
「裁判では無罪となったが、リジーは周囲から村八分となり、追い出された。1897年、リジーは万引きでつかまり、再び大衆の前に名前が登場することになった。」
そうで、遺産が入り大金持ちになったのに万引きって所が、いかにもお騒がせ女で笑える。

正直どう見ても犯人はリジー。亡くなる前に告白本でも出せば大ベストセラーになっただろうに・・・・
ぽち

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