lili

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のliliのレビュー・感想・評価

3.9
この時代にこの物語を映画化する意味について深く考えてしまった。監督はおそらくそれを、求婚するローリーにジョーが自分の気持ちを伝えようとする予告編の例のシーン("I can't! I can't!!")に象徴させていたのではないかと思う。ジョーの誠実さに胸打たれる良いシーンだったと同時に、なぜ「選択しない」ことに説明を求められなければならないのか、苦しい気持ちにもなった。愛せない相手との「結婚のための結婚」がいかに苦痛で不自由であるかは説明するまでもない。むしろ、大切な人との関係を続ける唯一の認められた選択肢が、ある年齢を超えると「異性」との「結婚」しかなくなっていく不条理の方が問われて然るべきだろうと思った。ローリーにとっては、ジョーとの友達関係を続ける方法として結婚を選ぶことは自然なことだったかもしれないが、ジョーにとっては違ったという、ただそれだけのことだったのに。
ローリーがエミリーとの結婚を選んだとき、ジョーはローリーと結婚しなかったことを後悔して寂しさを募らせているようにも見えるけれど、大好きだった姉も結婚して家を離れていき、家族とも友達とも今までと同じ関係ではいられなくなった彼女が寂しさを感じるのは不思議なことではない。その寂しさを解決するために、ジョーはベア先生との結婚を選んだのか…?しかし、ジョーとベア先生のラブストーリーは取ってつけたような薄さで、編集者に言われてジョーを結婚させる結末に変えた不自然さを際立たせようとしているのではないかと感じたほどだった(非現実感を出すためにルイ・ガレルを使ったのか、それともルイ・ガレルなら恋に落ちちゃうでしょみたいな強引な手段として使ったのか…)。
個人的には、どう見ても異性との結婚に明らかに向かないジョーは結局、違う道を行ったんじゃないかと思っている。今は、その結末を描くことができるまでに時代が進んでいると信じたい。
lili

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