lili

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのliliのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

目まぐるしい展開で、3時間とは思えない面白いエンタメ作品に仕上がっていたと思う。モリー役のリリー・グラッドストーンさんがスーパーカッコよかったし、ジェシー・プレモンスの絶対勝てなそうさすごい、など脇を固める俳優陣も素晴らしかった。
でも、正直、こんなエンタメ作品でよかったのか…?という気持ちがふつふつと湧いてきている。先住民への苛烈な差別と人命軽視というとても重いテーマを扱っているはずなのに、最終的にフォーカスされていたのはディカプリオとデ・ニーロの甥・叔父対決で、完全にギャングスタ映画になってないか?どう見てもこんな奴とは結婚しなさそう、としか思えない賢そうなモリーは、多少目立った活躍はするものの結局は非力な「アーネストの奥さん」という客体としてしか扱われず、先住民の女性という存在が単なる「風味付け」になっていないか?映画がやたらアーネストに寄り添おうとして、実はいいヤツだったみたいな感じにしようとしてるけど、実際やってることが酷すぎるのでなんかチグハグなキャラになってるのではないか?…などなど、つまり、アーネスト目線でこの物語を描いた時点にすでに限界があったのではないか、という結論に達しつつある。原作があるのはもちろん理解しているけど、ノンフィクションであるなら尚更、どこの立場に立ってこの物語を描くか、もっと考えられたのではないか…とか偉そうに考えてしまったけど、私もまたこの差別の問題に無知な一人でしかないので、この映画を知名度の高い監督と俳優陣が撮ったということには大いに価値があることは間違いないと思う。
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