みゅうちょび

ブルー・マインドのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

ブルー・マインド(2017年製作の映画)
3.5
この映画、出だし30分くらいで主人公がどうなるのかほぼまる読めしてしまうのに、観ている自分の引き込まれ度はまったく予測を超えていた。

「テルマ」とか「RAW 少女のめざめ」のような覚醒系。

ドキュメンタリー風のカメラで高校生ミアが初潮をきっかけとした体の変化に不安を抱きながら孤独を埋めるために不良仲間たちと酒やドラッグ万引きのスリルそしてSEXに溺れていくのを映していく。

とにかく彼女の「誰にも言えない」孤独感とか不安から抜け出したい感が半端なくて、それを紛らわすためにいけない行為にドンドン浸っていくのが「おいおい!」とツッコミを入れたくなるほど。

それに、いたーーーい!!思わず声を出しました!

スイス映画の性描写の基準がよく分からなくて、なんていうか、交わるシーンはサクッと割愛(びっくりするようなとばし方)するけど、そのくせ「映す」ことには躊躇がないみたいな。。。あ、もちろんぼかし入ってますが、性描写は過激の域に入りそう。映像がドキュメンタリー風なので余計に生々しく見えたのかも。

あと、女子高生たちが日本人と感性が似てるなと思った。スイス人でよく日本人と似てるって言われるから、こういうところも似てるのかなと思った。

最近流行りの有り得ないファンタジーをリアルに描くっていう流れの作品で、本作は、正にそれは有り得ない!!っていうことをリアルに表現していて、ファンタジーとリアリティーが独特な世界観で印象的だった。

観ている間自分がそこまでミアに感情移入していると思っていなくて、ところが、あるシーンになると、もうなぜだか涙が止まらなくなり。。。
彼女が愛おしくて仕方なくなった。(下で少しネタバレ書いてます)

「テルマ」に足りなかったものがここにはあり、このシーンには凄く魅了されました。どうってことないようなシーンなんだけど。。。凄く心がキューーーンとなった!
そう思うと凄く好きな故に「テルマ」にもそういうシーンがひとつあればなーとほんと惜しいと思えてくる。

こういう小品でも、グッとくるシーンがあって、こんだけ心揺さぶられると、いい拾い物をしたと凄く嬉しくなるし、なんだか自分の宝物のようになる。

☆☆☆ここからネタバレ☆☆☆












ミアが遂には自分がなんなのかに気づき、その恐怖から解放されて己を受け入れて行くシーンで、彼女が浴槽に1人心地よさげに沈んでいるシーンを見たら、ああ、怖かったね、辛かったね、でもやっと解放されたんだねって、彼女の姿がなんとも愛おしくてたまらなくなって、ジワジワと涙がこみ上げてきた。

そして、ラストもすごく美しくて、女友達との関係も無理なく描かれていたし、昨年度のオスカー受賞作の「シェイプオブウォーター」なんかより(わたしは、あまり感動しませんでした)ずっとよかったと思った。
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