こまち

Girl/ガールのこまちのレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
4.5
バレエを志すトランスジェンダーの主人公の内面に迫った繊細な作品。
家、バレエの学校、電車や車、病院といった彼女の繰り返される日常が描かれるなかで、直にその心情を突きつけられる。

バレエの学校では、同級生たちは彼女を特別扱いも仲間はずれにもすることなく普通に接しているように見えた。
が、どこか隔たりがあったり、時にありえない悪ノリで心無い言動を向けられたりすることもあり、あの環境でひたむきにバレエを続けるララの身体的な痛みも精神的な痛みも生々しく感じられるし、その強さにも胸をうたれる。

家族や親戚、そして医者も温かい人達で、彼女を献身的に支えているが、本人にしか分からない真意や計り知れない焦りや苦しみがあり、周囲のもどかしさもまた辛い。

主演の方の切ない笑顔とか絶妙な表情だった。
何回か映る電車内でのカットが、毎日乗る電車の中でも自然と周囲の視線を気にしてしまうというか、日常的な辛さを物語っているようでとても印象に残っていて、それがラストのシーンに繋がっているようだった。
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