rosechocolat

Girl/ガールのrosechocolatのレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
3.7
心と身体の性が一致しないことは、単にその事実だけではなくて、日常のあらゆる場面で困難に直面することが本作を観てよくわかる。日常の殆どの場面は男か女かで分けられてしまうため、そこに当てはまらなければ自動的にはみ出してしまう苦しみや、さらにそこを周囲の人が理解しない苦しみも加わって、細かな積み重ねで追い詰められてしまう。そのことを広く理解してもらうために、本作は大いに役割を果たしているのではないか。

ララはバレエで女性として演じることを選択した。そのことは、単なるトランスジェンダーよりも、心と身体の性の不一致を強く意識せざるを得ない状況になることを意味している。身体の線を露出する衣装と振り付け、着替えなどでの苦労、些細なことでもララにとっては命取りになる。ダンスシーンを通じて、周囲の生徒たちの妬みの目線がララに突き刺さっていることが、ララを決定的に追い詰めた事件に繋がっている。

知り合いにトランスジェンダーがいる。あまり多くを語らない人だけど、彼もまた筆舌に尽くしがたい苦しみを味わってきたに違いないと思っている。そんな苦しみの一端が少し理解できるかもしれないと感じた作品でした。
rosechocolat

rosechocolat