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グリーンブックのtomikoのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.8
アメリカではこの作品はホワイトセイバーの映画だという批判もあったそうだが、私には友情を描いた映画のように感じた。映画では8週間旅をしたことになっていたが、実際のツアーは1年半だったそうなのでそれほどの期間を共に過ごしていたら、お互いの考えを理解し、良い面や才能を認め思いやりを持てるようになるのではないか。ただそれが可能だったのは2人が苦悩や悲しみなど人の心の動きに敏感で人の話をよく聴く事のできる優しい人だったというのが大前提だと思うが。

悪い評判だったり既知でない事に人間は不安を持つし、誰かを差別する事で自分を優位に感じたり、憂さを晴らしたりするが、それが人間であれ動物であれ事柄であれその対象をよく観察したり理解しようとする気持ちを持てば、マイナス要素は消えていくのではないかと希望が持てる作品だった。

とにかく主人公の2人が魅力的だったし、トニーの奥さんがとっても素敵。がさつなふるまいが多いトニーだったけど、こんな奥さんに愛されているトニーは優しい人なんだろうなとすぐに分かった。
トニーが車から投げ捨てたゴミを回収させに行くシャーリーが彼の真面目で几帳面な性格が出ていてすごく面白かったし、ゲイである事が分かってしまい気まずい雰囲気になっているシャーリーにトニーが言った言葉もとてもかっこよかった。

偏見や差別をなくすのは難しいかもしれないが、表面的な事で判断するのではなく、見えない部分や根幹、本質を見ようとする努力ができる人間になりたいと強く感じさせる映画だった。
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