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グリーンブックのokomeのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

※自分用記録のためネタバレ多々あり

人種差別の色濃い1960年代、ガサツで教養が無くデタラメ上手のイタリア人・トニーが黒人ピアニスト・シャーリーの運転手として雇われ、一緒にコンサートツアーの旅に出る。
内心では差別意識があったトニーだが、シャーリーの演奏を聴いて感動し、彼に対して少しずつ協力的になっていく。

口も手癖も悪いが根は優しく義理人情のあるトニーとクソマジメで潔癖気味なシャーリーのやりとりがところどころ面白い。
翡翠石を盗もうとして怒られる、チキンの骨は投げ捨てても良いけどプラごみは車を戻して拾わされる、奥さんへの手紙、寝る前のピッツバーグトーク、どのエピソードもクスッと笑えて、トニーが可愛い。
シャーリーは徐々にトニーに打ち解けて、くだらない話にも笑顔を見せてくれるように。

街中での差別は想定内だったけど、有名ピアニストとして上流階級の人たちから歓迎されながら、ここでも会場のトイレは野外の黒人専用トイレしか使わせてもらえない……こんなチグハグな扱いが当たり前にあったのだろうか?どう考えても違和感。
ツアーが南部へ進むほどに差別の扱いが悪化していく中、二人が仲違いを起こしたとき(捕まってケネディ大統領に電話はすご笑)にシャーリーが初めて自分の感じている悲しみや怒りを露わにする。当時の大多数の労働者階級の黒人たちとは違う、でも裕福な育ちのピアニストだからと言って白人とも違う立場、というシャーリーの孤独さは複雑。

ツアー最終日は会場のホテルでのレストラン入店拒否がきっかけで公演キャンセル。契約厳守や品位を大切にしつづけたシャーリーがハッキリと拒絶し、2人は会場を後にする。
からのオレンジ・バードでの演奏会、雪中の帰路、1度は辞退したシャーリーが孤独の殻を破ってトニー宅のパーティにやってくるラスト、すっかり友人になった2人の空気感が気持ちいい。

個人的にはトニーが本当に魅力的。最初は嫌悪感さえあったのに、後半になればピザの食べ方さえも愛おしい。シャーリーからの数々の手ほどきをヒントに、奥さんに「君はまるで『家』のようだ」とオリジナルの手紙を書くところ、めちゃくちゃ良い。途中から急にロマンチックになった手紙に毎度感動してる奥さん、可愛かったけどちゃんと分かってたのね〜!(当然かw)離れていてもすごく愛し合っている二人が見ていて微笑ましい笑
オレンジ・バードの駐車場でチンピラを撃退するシーン、良し悪しはともかく、過去シーンの回収が秀逸でかっこよかった。
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