ズッキーニ

グリーンブックのズッキーニのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

極端にシンプルにすれば2人のコンビがコンサートで各地を南下していくだけの話なのにこれほど魅力的で愛おしい物語に仕上がっているのは本当に並大抵の映画ではない。
あまりの面白さにサブスクで見る際は集中力が続かず30分に1回スマホを触ってしまう自分が遂にエンドロールまで1回も触らず見終えてしまった。
まず各地での露骨とまではいかないが潜在的に感じる差別的黒人に対しての差別的な扱いが丁寧に描かれているのが印象的だった。
特に何気ないフライドチキンの会話からレストランでのフライドチキンが振る舞われるシーンへの繋げ方は黒人に対する無意識なレッテルを描く卓越した描写だと思う。
そういった黒人に対するジメジメとした潜在的で陰湿な差別意識の描写が幾度となく丁寧に重ねられていたからこそ、シャーリーの叫びは気迫のこもった切実なものとして心に響いたし、そのシャーリーの孤独が痛いほど伝わってきたからこそ最後のシャーリーがトニーの家族に受け入れられるシーンは心の底から嬉しくて少し泣いてしまった。
観終わった後、人なら誰しもが持つ悪意のあまりの醜悪さに絶望してしまいながらも、それでも世の中は捨てたものではない。人の性分に僅かながら存在する善性を確かに感じた。
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