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グリーンブックのtagomagoのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.2
久々にこんなに胸のすくような映画を観たなと。豪快なヴィゴと繊細なアリの2人の掛け合いは観ていて気持ちが良かった。割と序盤の方でこの2人何の問題もないくらい気が合う仲になってるので中盤くらいでもうすでにゴールしてましたよ。そこからは外部との戦いになるけど 信頼できる人が側にいてくれるのは強くて小さな障壁にしか見えなかったです。もちろん、その人にとっては大きなストレスを強いられることですが。2人の仲を引き裂こうとヴィゴの地元の友達が出てきますが全然相手にしなかったので安心のヴィゴでした。ここでアリがマネージャーとして契約してほしいと提案するのも可愛らしくて良かったですね。寂しいときは自分から連絡せなとアドバイスをするヴィゴも素敵だしそれを受け入れて実行するアリもまた素敵でした。

マイノリティにマイノリティを乗せるならもう少し深く掘らないとただ詰め込みすぎな印象も受けてしまうがヴィゴが軽く受け流してくれる。彼の名演があったからこそ角が立たない。いくらでも重くできるテーマであるが彼らをそれを軽々と飛び越えていく。重い話を扱いながらもいたってシンプルなのが疵なのかもしれないし白人が気持ち良くなる映画と言われたらそうなのかもしれないが人種も考え方も違う2人が旅を通して美しい友情へと結ばれる展開は王道でどの時代でも受け入れられてきたはず。この映画も娯楽映画の部分とハリウッド映画の伝統を気持ち良いぐらいに受け継いでいる。その中でもはぐれ黒人と呼ばれる人にスポットを当てたのは新鮮だった。

アリがヴィゴの手紙を添削する場面の手前の2人だけにピントが合ってるかのような撮影の美しさや南部のツアーでの鬱憤を晴らすかのように純粋に演奏を求められた酒場での演奏は涙なしには見れません。でかいピザを二つ折りにして食べる場面は笑ったなあ。

人間らしくあろうとする姿、今まで我慢していたものから抵抗する姿が目に焼き付きます。そしてこの映画は笑顔でしょ。主演2人の笑顔はもちろん彼らを迎え入れる家族の笑顔。最高のクリスマス映画になりました。
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