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グリーンブックのロクのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.8
本年度アカデミー作品賞、助演男優賞、脚本賞の3部門に輝いた1960年代のアメリカ南部を舞台に人種差別が色濃く残る地域をあえて巡るコンサートツアーを計画した天才黒人ジャズピアニストのドクター・シャリーと粗野で無教養だが腕っ節の強さと口の達者さを買われ運転手兼用心棒として雇われたイタリア系白人のトニーが旅を続けていく中で友情を深めて行く実話を元にしたロードムービー。人種差別という極めて難しい問題をテーマにした作品を「メリーに首ったけ」や「Mr.ダマー」など過激な描写の多いコメディ作品で有名なピーター・ファレリー監督が手掛けるということで少々心配ではありましたが現在のアメリカ抱えている人種や性別に関する問題をペーソス溢れる笑いで包み込んだ暖かい内容となっていて老若男女誰にでも薦められる良い作品だと思いました。天才的な才能を持ったが故に黒人社会にも白人社会にも受け入れられずカーネギーホールの上で孤独な自分だけの世界に閉じこもっているシャーリーを抜群の存在感で演じ見事助演男優賞に輝いたマハーシャラ・アリは良かったけど腕っ節はあるものの無学のため妻へのラブレター1つ書くことが出来ない気の良いイタリア系白人トニーを10キロ以上も体重を増やし見事な太鼓腹姿で演じたヴィゴ・モーテンセンが最高でした!予告にあった彼とシャーリーのフライドチキンを巡るやり取りやラブレターの書き方をシャーリーから指南される件は笑えましたね。本作については賞賛の声がある一方でアメリカの人種問題が厳しい状態に直面している現実を見ずに理想論ばかり語る本作は呑気過ぎると批判的な意見もあるなど賛否両論の声が上がっているみたいですが、映画なんだから少しは夢や希望があっても良いんじゃないのとは思いますけどね。個人的には本作が作品賞を受賞した瞬間、ブチ切れて会場を出て行ってしまったスパイク・リー監督の「ブラック・クランズマン」との見比べが楽しみでもあります。
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