Kumonohate

マダムのおかしな晩餐会のKumonohateのレビュー・感想・評価

マダムのおかしな晩餐会(2016年製作の映画)
3.7
ヨーロッパ階級社会において、アッパーは不毛な色恋沙汰を浪費し、ワーキングは物事を諦めながらルーティーンの繰り返し。そんなアッパーの男がそれと知らずにワーキング(移民の場合もそう言うのかな?)の女を好きになり、彼女の人生が輝き出す。だが、そんな彼女に雇い主であるアッパーの女主人が嫉妬する。というコメディー。

降って湧いた主人公の薔薇色を描けば描くほど、階級社会の閉塞感や束縛感が強調される。だが、だから階級社会は困ったモノだと一刀両断できるほどハナシは簡単じゃない。

ここまで堅牢になった社会を壊すなんて容易じゃないし、階級社会だからこそ生み出される価値もあるし、移民の受け皿にもなっているし、何よりそれぞれの階級に縛られて生きる姿は愛おしくもある。だったらそこに甘んじて生きる方が案外幸せかもよ?とも思えてくる。それほど階級とそこに生きる登場人物達の描き込みが深い。

恐らく我々日本人には読み解けないメッセージも色々と込められているのだろうが、ロッシ・デ・パルマが放つ強烈な個性と、50になっても衰えない西洋人のセックス欲への驚きも相まって、それでもじゅうぶん面白い。
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