池添俊監督の実体験をもとにしたという約8分間の短編。
青年は駅のホームでタバコを吸おうとした時、ポケットにあったナツメの実を見て、過去の記憶が蘇る。
英題『Jujuba』=ナツメ。
10才の頃、親父が突然、新しいオカンだと若いむっちりした中国人の女性を連れて来て、父の提案で“お姉ちゃん”と呼ぶことになる。
“お姉ちゃん”が作ってくれた地獄の池のような真っ赤な鍋。
スプラッター映画を見ながらナツメをばくばく食い、「人間の世界はジプシーや。人生は彷徨える旅のよう。」と語り、テレサ・テンの「甜蜜蜜」をカラオケで歌う“お姉ちゃん”に漂うエロス。
3人で行った河原のバーベキュー。その数週間後、出ていった“お姉ちゃん”。
その面影と彼女が話していた意味深な言葉が彼の中でリフレインする。
期限切れの8mmカラーリバーサルフィルムも使われたという、儚い記憶の断片のようなざらついた映像の質感。いいですね〜
●イメージフォーラムフェスティバル: 東アジアエクスペリメンタルコンペティション優秀賞
●グラスゴーショートフィルムフェスティバル: スペシャルメンション
HENRI Cinémathèque française “Japan Fringe” 特集にて