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ジョーカーのAのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
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笑いには軽蔑とそれによる自己肯定や優越感を得るという効能がある。しかし、笑い物に出来るのは自分より社会的身分の低い人へだけである。なぜ笑いものにしなければならないかというと自分にも上がいてその屈辱感や不自由感を晴らすためだ。この映画でアーサーから看板を奪うストリートチルドレンや電車の中で会うエリートサラリーマンすらもそうである。一見華々しい成功に見えるが電車の中で食事を取りナンパをするほど時間がない社畜なんだろう。しかし、下に誰もいないアーサーは誰も笑いものに出来ない。それで、笑いの効能を得るために病気という形で勝手に笑うようになってしまったのがなんとも皮肉だと思った。最後ゴッサムシティで反乱を起こした人のほとんどはあからさまにか少なくとも心の中でアーサーのような人を馬鹿にし、優越感を感じていただろう。だから、ゴッサムシティの悪党たち悪と言い切り闘えるのはウェイン家のように上がいない本当の勝ち組だけなのだろう。この映画(に限らず現代社会の)テーマは格差とそれによる劣等感との向き合い方だと思う。
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