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風立ちぬのAのネタバレレビュー・内容・結末

風立ちぬ(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

主人公は飛行機への憧れと女性からモテたいというぼやけた願望から操縦士を夢見ていたが近眼という理由でそれを断念せざるを得なかった。しかし、そんな絶望のさなか設計者のカプローニの「飛行機の設計は夢に形を与えることだ」という言葉に感銘を受け設計者を志すようになる。主人公は純粋で正義感が強くあきれるくらい真っ直ぐで自分が正しいかどうかの反省をほとんどせずに突っ走ってしまう。いじめをしている人を見たら事情も分からないにも関わらずいじめをしている人たちは言葉を持たないただの悪役になってしまい、貧しい子供に食べ物を断られた理由が分からない。夢のためなら愛する人の命も犠牲にしてしまう。たしかに2人には時間が無かった。戦争が終わる前に零戦を完成させなくてはならなかったし創造的に生きることが出来る10年という呪縛があった。そこで2人が選んだ決断が零戦を2人の夢にすることだった。タバコを吸う時でさえ、手を離さずに作業を続けた。そして夢の結果は愛する人の死、一機も帰ってこない零戦、日本の敗戦と散々なものだったがそれが創造者の宿命なのかもしれない。アニメの制作に人生を捧げた宮崎駿の懺悔とも言える。創造的10年が終わった二郎に残された生き方はカストルプが教えてくれた。愛する人を死なせてしまった。忘れる。その結果出来上がった夢の結晶零戦は一機も返って来なかった。忘れる。多くの犠牲を伴った戦争に負けてしまった。忘れる。
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