このレビューはネタバレを含みます
犯罪の温床であるゴッサムシティに、なぜジョーカーが生まれたのか…を描く物語。
のちのジョーカーであるアーサーはうだつの上がらない日々を送る。冒頭から社会の理不尽や暴力に巻き込まれる姿は痛々しく、何をやっても上手くいかない、理解されない、それでもギリギリのところで前を向こうと生きる。しかし救いはなく…事件は起こる。落ちていく彼を正義・正論だけで責め立てるのはあまりに惨い。
特殊な心理描写はさほどないが、とにかく上手くいかない日々の描き方は脚本と演技の妙で、(程度は比較にならないけれど)現代社会を生きる自分にも当てはまるところがあり共感を覚えてしまった。
そして噂に聞くホアキン・フェニックス、最高だった。希望と悲壮の二律背反を見事に演じ切っていた。とりわけ、苦しみながら笑う姿は心が痛い。笑う演技はみんなできるだろうけど、あれを出せる俳優はなかなかいないのでは。
さらに音楽もいい。感情に直接迫ってくるBGMがアーサーの精神面を的確に表現していたと思う。
ただ暗すぎて、バットマンワールドでなければ見なかったかも…。ノワール系作品が好きならオススメ!