このレビューはネタバレを含みます
グランドシネマ池袋でIMAXレーザー。
話題になっていたのでジョーカーの悪意にもっと共感や必然性が加えられるのかと思ったけれど、そこはある程度抑えられていたと思う。
「人を笑わせたいけれど、人に笑われることに敏感」「でも自分は発作的に笑ってしまう病気」という矛盾が「笑い」自体が悲劇の元凶になっているので「ああ、ピエロの犯罪者ってこういうギャップの恐怖なんだ」と納得。
どこまでが妄想でどこまでが現実かわからないのはアーサーの視点だからよねえ。
何者でもないどころか弱者でしかない自分と、何者かになりたい願望。
本当にバットマンと腹違いの兄弟なんて爆弾設定ぶち込んでくるのかと思って動揺した。
アーサー自体に問題はあるけれど、止められなかったのは社会全体の貧困も大きいと言えなくもないけれどどうかな、という微妙な倫理観を揺さぶってこられて非常にキツイ。
こういうときに「自分より弱者」に矛先を向けるのはよくある弱者の鉄則ですが、ジョーカーは「自分より強者=金持ち・スター」に銃を向ける、というのが「悪のカリスマ」の美学でしょうね。
黒人女性に話を聞いてもらおうとしたり恋人になってもらう妄想をしたり、小人症の友人は優しかったと逃がすのは、昨今の映画業界コンプライアンスもあるだろうけれどそれ以上に「自分と同じか自分より弱者」は敵ではないというジョーカーの基準を感じた。
それにしても終始画面が強い。
セリフがなくても情報量が多い。
ラストシーン、そんな、るーみっくわーるどみたいなコメディー感…そうかこれはコメディーか。
これからあの子どもが大きくなってバットマンになるまでゴッサムシティはこの混沌なのかー。キツイなー。
