ちくわ

ジョーカーのちくわのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.4
個人的にこの映画に対して思うところが一切なかったんですけど、ジョーカーって意外と普通の犯罪者だったんだなという印象です。
私はDC、ひいてはバットマンの世界をミリも知らない人間なのでジョーカーって特殊な何かを持ってるヴィランだと思ってたんですよね。

他のバットマンの世界とは交わることはない、と監督が言ってるのでこの作品世界でのジョーカーとして話をしますが、見逃した同僚やTVでの会話を鑑みるに基本的に彼は彼の倫理観で殺人を起こしている。たまたま「ジョーカー」というアイコンが世間に受け入れられたから「ジョーカー」を自身も受け入れたけれど、単にあれは自己の解放だよねっていう。

ストレスがかかると笑い出してしまう障害を持った人間がようやく最後に心からの笑みを見せる訳ですが、まぁつまり彼はあの状態がストレスフリーな訳で行動原理的には得体の知れない化け物ではないよなぁ…。

こういう世の中の常識と相容れない人って普通にいますよね。もちろんマイノリティではあるんですけど。自己の解放に殺人を選ぶかその辺は人それぞれだとは思うんですが、それをジョーカーの誕生に持って来たことで、ジョーカーというキャラのカリスマ性が全く感じとれない構成になってるな??というのが正直なところ。

私はバットマンというコンテンツに思い入れがないので「良し」「悪し」みたいな感情はなく、単に「これはジョーカーというキャラクターにプラスに働く作品なんかしら?」みたいな感想です。

ホアキン・フェニックスが「ジョーカーの様な犯罪者が誘発されるのでは?」という質問に戸惑いインタビューを中断してしまったそうですが、多分彼はとても善良な人間なんだろうなぁと思う。殺人って時と場所によってはそんなに悪としての価値があるものではなくて、恐らくですが、善良な人間ほどその事象を想像出来ないものなんではないかなぁと思われる。

ゴッサムシティーはそういう「場所」で、そういう「時」だったんだなと思います。
ちくわ

ちくわ