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ディル・セ 心からのeriのレビュー・感想・評価

ディル・セ 心から(1998年製作の映画)
4.5
こんなお話:
ラジオ局勤務のジャーナリスト、アマル(シャー・ルク・カーン)は、寒風吹き荒ぶ鉄道駅で列車を待っていた。
駅の隅でストールにくるまる女を見つけ、その容貌の美しさに一目惚れするが、女にチャイを買ってきてほしいと頼まれて買っているうちに、女は列車に乗って去ってしまう。
女、メグナ(マニーシャ・コイララ)を追ううちに、アマルは彼女の仲間である謎の男たちに暴行を受ける等危険な目に遭う。
メグナはアマルに一切なびかず、自らの行動の為にアマルを利用する始末。
メグナに腹を立てながらも追うアマルは、メグナのある重大な目的に気づくのだった…。

良かったところ:
90年代に日本に紹介されたインド映画の中でも、名作と謳われた本作。
話はゆっくりと進みますが、ストーリーパート、ダンスパート共に妥協なく非常に丁寧に作り込まれています。
無表情かつらそうな表情しか見せないメグナの美しさ、仲間たちとの怪しげな行動、追うアマル、そしてアマルの家族たち。最後まで観るとわかるのですが、この作品はアマルとメグナの気持ちや行動だけでは到底成立しない話です。彼らの背景も丁寧に描いているのが印象的でした。

Dil seは「心から」と訳されます。
心から…愛してる?心から…共になりたい?アマルの熱愛ぶりからはそんな言葉を予想していましたが、私は「心から憎い」なのかな、と感じました。
メグナはその壮絶な半生の怨念を今の行動に繋げており(その割には、本人が能動的というよりは気持ちを利用されているようにも見えますが)、アマルは彼女を愛するが故に、アマルへの情愛が一切みられないリアクションが憎らしい。
そんな憎しみにまみれた作品に見えました。
二人とも心の底では愛を求めているのに、憎まずにいられない。そんな凝縮された感情の行く末はどうなるのだろうとハラハラしながら、最後まで観て、ああ…と嘆息せざるを得ませんでした。

もう少し!なところ:
どうしても演出上気になってしまったのは、アマルってメグナの扱いが絶妙に雑。笑
顔や首を平気でわしづかみにするし、腕をものすごい勢いで引っ張ります。
愛している女にそんなことするか~?と思いましたが、文化の違い、時代の違いなのかもしれませんね。
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