物事のすべては突き詰めると同じ場所に行き着くのではないかと思わせてくれる作品。
モチーフには、誰もがそれに対する思い込みがある。
この作品のモチーフである「ヲタク」、そしてBLなど上げればきりがない。
その中で無難どころのものや流行などがあって、そこに「売れる」可能性を模索している作品はかなりあるのだろう。それしかないのかもしれない。
従来オタクとは社会的レッテルを貼られながらも、海外からの応援の影響などもあってとうとう政治家までもがクールジャパンとか日本のポップカルチャーなどと言い出した。
この作品はそんな時代を経て地位を獲得したヲタクと恋愛とを掛け合わせ、そこにコメディタッチとミュージカルの要素を加えて、オリジナルとなっている。
冒頭石山部長の変なレクチャーがこの作品の概要をうまく表現している。そのレクチャーであくびをしたことで「会社の新事業の目的を言え」と言われ、答えるナルミの返答もこの作品全体のイメージを表現している。
とにかく吹き出してしまう場面が多い。まるで漫画のようでいて、気分がホッとなる。
佐藤二朗さんは「地」で、そのほかの役者さんたちの演技は見事だったが、その中心にいた高畑充希さんの演技あってこそ全体がまとめられていたように感じた。
ヲタクに対する思い込みがあればあるほどそう思っていた自分に気づくことで「好きなことは何でもして良いんだ」と感じてもらえることがこの作品が意図していることだろう。
作品自体のプロットはごく一般的だが、それがこの作品には合っていると思った。
コミケのあと、女子たちのトークが繰り広げられるが、その中でガンダムのスレッガーロー中尉のセリフに気づいてしまった私も、もしかしたらヲタクに入るのかもしれない。
面白かった。