ちろる

悪魔はいつもそこにのちろるのレビュー・感想・評価

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)
3.7
初めは戦争での罪の意識からだった。
病に犯された妻を助けたいがための信仰という名の狂気。
この小さな街にはヘドロのような真っ黒タールのような「何か」が蔓延っている。
主に愛されるため、自分の夢見る境地に達するため、周りの景色が見えなくなる信仰者たち。
彼らが愛していたのは、果たした本当に神なのか?
神の皮を被った悪魔なのか?
悪魔は微笑む、この小さな街を見下ろして。
罪の連鎖、憎しみの連鎖、暴力の連鎖
嫌な予感が想像を超えた悪夢を生んで、失わなくてもいい清らかな生命が一つ、また一つと奪われていく。
本当に苦しくて暗い作品だった。

冷静な瞳の中でも暴力という狂気が膨張していくアーヴィンを演じたトム・ホランドの演技もさることながら、毒々しい苦しみで悪夢の種を植えるアーヴィンの父を演じたビル・スカルスガルド、そして最強胸糞悪い牧師を見事に見せたロバート・パティンソンの全く血の通っていないような悪魔そのもののような振る舞い。
折り重なる悪魔の所業が救いようのないラストに辿り着き、不条理な空気でなんとも言えない気持ちにさせらるのは必至。
壮絶な感情体験をさせられる作品でした。
ちろる

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