Punisher田中

悪魔はいつもそこにのPunisher田中のレビュー・感想・評価

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)
3.8
舞台はとあるアメリカの田舎町。
しかし、そこには昔から蔓延る闇や腐敗に塗れた""呪われた場所""と言っても過言ではない町だった。そんな町の醜悪さとある少年は向き合っていく。

狂ってる...
神に祈りを捧げる行為そのものを否定するかの様に次々と現れる悪魔達。
現実に溢れる悪魔達は神への祈りや敬虔さを諸共せず歩み寄ってくる。
題材自体も当に語られ過ぎた題材だというものだが、現実は非常だということと人為的な悪意の醜悪さを突きつけてくる作品だった。
""殺す""・""犯す""・""金""などありきたりながらも大概全ての罪が網羅されて描かれた作品は珍しいのでは...?
この大罪達が世間の裏を平然と闊歩し、誰もが見ないふりをしている中でそれに気づき根幹を断ち切ろうとすると罪になる負のスパイラルが蔓延っていて地獄映画だったが、そんなスパイラルをさまざまな不幸を経て無神教(恐らく)となった主人公の手によって断ち切られるのが良かったし、そこに罪が重ね続けられる胸糞悪さが実に題材とマッチしていて良い。

ある種の勧善懲悪ではあるんだけど、善の方にも""殺した""という罪が残ってしまう、この善と悪の混濁を奇妙な偏ったパランスで描ききっていてるのが逆に刺激的で物語としてはかなり楽しめた。
全ての事象の根底には「神ってなんなんだ?!」という怒りを交えた疑問符と宗教という言葉のみが生きているものが交錯する今作、是非傍観者として善と悪に板挟みになってみては。
めちゃくちゃ良かった!