ゆんぶりっく

悪魔はいつもそこにのゆんぶりっくのレビュー・感想・評価

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)
3.8
トム・ホランド主演のNetflix映画。
終始、陰鬱。作中に登場する神を盲信する人々は大体酷い目に遭うし報われない。なんなら神の名の下にとんでもねぇ事をしでかす…
そんな宗教へのアンチテーゼなのかと思いきや、逆に信仰心の薄い人間も酷い目に遭うんで全方位的に救われない。

トム・ホランドの役柄は神に祈る事をやめた青年アーヴィン。
なんとなく流れ的に彼が信仰を取り戻す系の映画かと思いきや、案外宗教を肯定的に描かない作風は個人的には好印象。
むしろ彼は(幼少期の原体験ゆえなのか)終始暴力的。
彼の暴力をぶつけるべき対象が“悪魔”のような存在にのみ向いていくので、人物の裏側を知る我々観客から見れば肯定される存在になり得ますが、見方を変えればただの殺人者になる。
その存在のバランス感は映画「タクシードライバー」トラヴィスを彷彿とさせる魅力がありました。

彼の中の正義を行使し、過去のトラウマとも決別したラスト。
これから彼の歩む道は苦しみを伴うものになるかもしれませんが、個人的にはハッピーエンドに近い満足感がありました。
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