なかなかダークな映画である。
しかも、登場人物が多い上に微妙に絡み合っているので、なんなら140分映画にするよりは、5話ミニシリーズの方がよかったかも。
中西部の地図に埋もれてしまいそうな小さな町に、ウィラード・ラッセルがWWIIから帰還してくるシーンでスタート。
彼が一目ぼれするのはダイナーのウェイトレス、シャーロット(H.ベネット)。入店拒否されるホームレスに、こっそり裏口で食べ物を分け与える優しい彼女と結婚したウィラードは、町のはずれに一軒家を借りて生活を始める。
その一人息子アーヴィンを演じるのがトム・ホーランドなんだが、なかなか彼は出てこない。トムホが出てくる前にラッセル一家に様々なことがおこり、また、裏面(?)でも別のウェイトレスの、シェリフの、ウィラード実家の教会でのストーリーが同時進行していく。
ああ、あのダイナーであそこに座らなければ、母親の勧め通り結婚していれば、裏山のあるあの家を借りなければ、などと「たられば」発生の人生交差点がいっぱいありすぎて、ベタだが、「運命って!」と思ってしまった。
そして劇伴。オールディーズやカントリーといった「のほほん系」なのに、ドラマの中身がかなり壮絶、そのギャップも面白い効果を生み出している。
J.クラーク、R.キーオ、H.メリングにR.パティンソンと豪華キャストが揃っており、それぞれが人間の欲というか邪悪な部分をやり過ぎ瀬戸際なバランスで演じているので、なかなか見ごたえがある。
R.パティンソン、美男子吸血鬼(だっけ?)から上手く脱皮したよなあ~。フリフリシャツとサウス訛り爆発で新しく来た怪しい牧師をやっているんだが、大げさと嘘くささのギリギリで絶妙。
ダニエル・ラドクリフも脱皮に成功しているけど、そろそろ脱皮しろよ、とマーク・ウォルバーグやライアン・レイノルズに言いたい・・・。