しろくま

居眠り磐音のしろくまのレビュー・感想・評価

居眠り磐音(2019年製作の映画)
3.5
《こい磐音。次はお前じゃ》
磐音の構えは春先の縁側で日向ぼっこをしている年寄り猫のようじゃ。眠っているのか起きているのかまるで手ごたえがない。よう言ったもんじゃな。〝居眠り磐音の居眠り剣法〟とは。

剣先を真下に向けて半眼になり、ゆらりゆらりと受け流すので、相手もつい手を出すのを忘れてしまう。無理をして仕掛ければ、真綿にくるまれたような防御にあって根負けをしてしまうという〝居眠り剣法〟って結局、何だったの?技の決め手が分からないままのモヤモヤ感。

発端の事件も謎。世間の噂話を真に受けて、いきなり切りつけるってあまりにもお馬鹿な磐音(松坂桃李)のお友達慎之輔(杉野遥亮)。彼の身勝手な勘違いから、とんでもないことになるんだけど…。大好きな彼女(芳根京子)をほったらかして江戸に戻って、のほほんとしてる磐音も信じられないし…。

その後は、金貸しのいざこざに巻き込まれて、悪役の阿波屋有楽斎(柄本明)をやっつけようっていう展開になるのだけど…。これって田沼意次の貨幣政策が元ネタで〝南鐐二朱銀に関しては法定比価で金一両分だと元文銀104gに対し南鐐二朱銀八枚79gと設定したので元文銀を材料に南鐐二朱銀を鋳造すれば通貨発行益が発生することになる〟っていうことは、南鐐二朱銀八枚に金一両分の価値がないって言っている柄本パパの方が正しいように思えるのだけど…。難しすぎる為替相場と両替問題。ということで、用心棒になった今津屋吉右衛門(谷原章介)サイドに加勢しているだけで、王道の勧善懲悪ではないね。

視聴メモ:2023.04.22/074/図書館DVD
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