玻璃

ホットギミック ガールミーツボーイの玻璃のレビュー・感想・評価

3.6
中盤くらいまでは幼馴染男子2人の性格や言動はもちろんマネージャーも怖すぎるし、主人公はすぐ流されてフラフラするしで、なんだかちょっと気持ち悪さまで感じてしまって、映像や音楽は好きなのに残念だなと感じていた。
それでもなんとなく見続けてみたら、案外これが女の子のリアルなのかもしれないとふと思った。
第三者目線で「物語」として見ているからどうしても綺麗なものを求めてしまって、理解できない、なんだこれはって気持ちになってしまうけど、この物語はあえてキラキラしたところを描かずに人間のどろっとした本質を露呈させているのかもしれない。

女の子は、
ルックスを常に査定されて、他者に可愛いと思ってもらえるかどうかが自分の価値。
受け身で、選ばれること、誰かのものになることが名誉で大切。
自分が中高生だった頃を思い返してみても、思春期の女の子は特にそういう世界に身を置かれている気がする。
そんな女の子を体現しているのが主人公の初だったんだと思う。

よく分からなかったシーンや台詞もあるけど、反対に深い台詞もたくさんあって、常にラベリングされて生きる私たちに寄り添ってくれる映画に思えた。
最初は男の子に取り合われて、自分の本当の気持ちを模索するみたいな恋愛ものかぁと思っていたけど、多分、そんな単純なものじゃないはず....
噛み砕くにはちょっと難しい部分もあるしクサく感じてしまうところもあるけど、この映画には、(特に)女の子に向けたメッセージがたくさん詰まってると思う。

男の人は、好きな相手に対して自分の「もの」になってほしいと思うのが普通で、色んな作品でもそういうふうに求められるのは嬉しいこととして、胸きゅんポイントとして描かれる。
でも女の子は受け身じゃなくて、主体でいい。自分で選択するし、私のすべては私のもの。他の誰のものでもない。
それが当たり前なんだよって、私は私のものだと主張していいんだよってことが、この映画のメッセージとして一番伝わってきた。

台詞も含めて山戸監督の世界観なのかなと思っていたけど、原作があるみたいだから読んでみたい。


📄追記

「男はみんな初みたいな子が好き」って言われるシーンが何回かあって、それは単純に彼女の垢抜けきっていない純朴なビジュアルや大人しめな性格のことを言っているんだと思っていたけど、それは褒め言葉じゃないことに気づいた。
流されやすく、自分の言うこと聞いてくれる従順な女がいいって意味だよねきっと....
猛烈に悲しくなった。
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