バンバンビガロ

足跡はかき消してのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

足跡はかき消して(2018年製作の映画)
4.0
非常に繊細な作劇で、限られたスコープの中で出来事をリアルに淡々と描いていくタイプの映画である。
住処を追われた父娘の逃避行の中に現在のアメリカという国の姿を感じさせるいくつものディティールが忍ばせてあり興味深い。
父親は戦争によるPTSDを抱えておりそれに起因して社会から逃れるような生活を送っていると思われるのだが、その詳しい事情は説明されることはなく、父親がどういう感情を抱えているのかはわからない。このわからなさは娘にとっても同様であり、最大限父親に寄り添いながらも根本的には父親の苦悩を理解することができず、それが最後の決別につながっていく。
ハチの巣箱に手をかざす所は人とつながる温かみを求める娘とそれを理解しながらも社会にとどまることが困難になってしまった父親の断絶を象徴的に示す場面で物悲しくも心に残った。
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