ジョージ

アマンダと僕のジョージのネタバレレビュー・内容・結末

アマンダと僕(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

パリで起こったテロ事件の悲惨さを、事件そのものの惨劇を赤裸々に描写するのではなく、事件で亡くなった女性の娘である7歳の少女、少女の叔父である青年、事件の犠牲者の一人でもある青年の恋人を中心に焦点を当てながら、それぞれの傷ついた心理を丁寧に描くことと、パリの美しい風景を対照させることによって伝えている。

キーワードの一つとなった、Elvis has left the building.は、もともとは、「エルビスは、コンサート会場にはいないよ」(つまり、「お楽しみはここまで」というニュアンス)という意味だろうと思うけど、スクリーンでアマンダの母親は「望みはないとか、おしまいという意味よ」とアマンダに教えていた。
その言葉を最後のシーンとなるウィンブルドンテニスの試合の最中に、応援している選手が劣勢になったとき、アマンダがつぶやき泣き出す。
母が座るはずだった席に荷物を置いていたアマンダは、母のいない生活での日常の再生を、選手の活躍に投影していた心理が伝わってきて、思わずもらい泣きを誘われた。
選手が形勢を逆転し、アマンダに笑顔が戻ったところで、希望の道筋が示される。

アマンダ役のイゾール・ミリュトリエの演技が素晴らしかった。
それにしても、どの国でも子役のうまさが際立っているなあ。日本の若手俳優も少し見習ってほしい。