ギズモバイル

テルアビブ・オン・ファイアのギズモバイルのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

今話題のパレスチナ制作の映画をサブスク鑑賞。
内容もパレスチナVSイスラエルのスパイドラマ…

…をネタにしたコメディ映画。
パレスチナ&イスラエルの両国で大人気の架空の同名ドラマ製作スタッフの一人が主人公。

ヘブライ語言語指導という端役だが、イスラエル人の台詞にちょっとツッコミを入れたり、エルサレムの検問でドラマの展開にダメ出しをつけてくるイスラエル将校にヒントを得たりして脚本家にスピード出世。
元カノともいい感じになったり、主演女優にもアプローチかけられたりして順風満帆なサクセスストーリー。時々先述のイスラエル将校が演出に不満を感じて主人公を拉致って銃口を突き付けてID奪ったりする以外は。
イスラエル将校はアラブ人ヒロインとイスラエル軍人が結婚するハッピーエンドにしろと脅迫し、監督はハッピーエンド?ふざけんな。オスロ合意じゃねーんだから。最後は爆発エンドだ!と譲らず、その他四方八方から要求を突き付けられ、元カノとも色々あって破局寸前に。

最後は主人公が起死回生のアイデアでエンディングを書きあげる事となる。
ネタバレすると、脅迫してきたイスラエル将校を司祭扮した警察役として出演させ、結婚式で両者逮捕。

イスラエル将校は結婚エンドを臨んだが、本質的にはドラマの展開を先取りする事で妻にマウントを取りたかっただけなので出演できて満足。
監督はアラブ人とユダヤ人との結婚が絶望エンドで終わったのでOK。
その他主演女優や脚本家や元カノやらとも、主体性が無い割にポイントを押さえた主人公の立ち回りで総じて丸く収まる。

…まあ、理屈は分らないこともないが、エンディングがそこまで評価に値するものかは私には謎。
そもそも間違いなくコメディ映画なのだけど、突き抜けた笑いのセンスは感じられなかった。とはいえ、決して寒いわけではなく、単に控え目の笑い、といった印象。
この辺はリアルな紛争に接して生きているパレスチナ人と、四六時中エンタメの中で生きてる日本人との感性の違いなのだろう。

昭和を彷彿とさせるコッテコテのドラマの演出は敢えてなのか、ありのままのパレスチナ味なのかは不明。おそらく両方。

世界最強民族のイスラエル人でも、本質的な価値観はびっくりするぐらい世界最強平和ボケ民族の日本人と大差無いんだなーと思った。
主婦層は戦争なんかよりもドラマの展開の方がよほど興味があるし、軍人だって安っぽい自己顕示欲丸出しだ。多少演出が入っていたとしても。