勝ったのは農民だ

メランコリックの勝ったのは農民だのネタバレレビュー・内容・結末

メランコリック(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

【自分にとっては、そんなにメランコリック(憂鬱)な映画じゃありません。】

※今回はラストシーンまでネタバレします。
未見の方は読まないことをオススメします。
あと、他の作品名の引用も多くて、纏まらないレビューです。
ご了承下さい。🙇🏻‍♂️

そして先に結論から言っておくと、これは事前の期待値以上に自分の好きな映画でした。😄

まず、タイトルの『メランコリック(melancholic)』とは「憂鬱な」😩とかの意味だそうですが、そこまでネガティブな映画じゃありません。😄


ただ、どのジャンルに属するのか❓のジャンル分けが難しい映画でもあって、🎬

サスペンス映画でもありますが、

ブラック・コメディでもありますが、

“ナメてた相手が実は殺人マシーンでした“映画でもありますが、

自分にとっては、

“意外とテーマが深い、働くことについて考えさせられる話“だと思いました。💼

🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫🔫

【銭湯は暗殺には最適な場所ですね。】♨️

ジブリ映画なんかは基本的に“働くことを人としての善き行い“として描いていますが、

今作のように“風呂場で働く“って意味では、やっぱり『千と千尋の神隠し』を連想しました。

ただし今作は、

予告編でも描かれている通り、

「バイト先の銭湯が、なんと死体の処理場だった‼️😫」

って話です。

よくよく考えたら目から鱗で、

血が飛び散っても洗い流せば良いし、🩸🚿

バラバラにして死体を燃やせるし、🔥💀

銭湯♨️って暗殺には合理的な場所ですね。😄

(銃🔫は使わない方が良いでしょうけど…、)

今まで映画を観てきて“暗殺に適した場所“なんて考えたことが無かったです…。😅

♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️♨️

【記憶に残る名(迷?)言の数々…】

テーマが深い話だと前述しましたが、

とはいえまずは、素直にコメディ映画としても面白いです。🤣

基本的に全編通して、

“緊張からの緩和“、

或いは逆に

“緩和からの緊張“

の繰り返し🔄が多くて、それが面白いんですが、

「このシーン、笑っていいのか❓」ってモヤモヤするようなシーンもすごく多いです。

例えば、終盤にある、「アクセルどっち❓」「カレ、シンジャウヨ‼️」🚐のくだりとか、なぜか笑ってしまうんです。🤣

あのセリフ以外にも、

「今日も美味しいよ」👩‍❤️‍👨
「🆗❓」
「田中さん、じゃなくて田中」
「200年前…」
「あったかいお茶ってありますか❓」🍵
「楽しみがなかったら生きていけないんですか❓」
「幸せにはなりたいけどね…」😢

とか、記憶に残る名(迷?)言も多いです。

🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃🥃

【おしどり夫婦と和彦君の食卓の空気感が好きです。】

それに、登場人物の顔が良いです。

全然テレビとか映画では観たことがない、
全く馴染みがない俳優さんだから、
街を歩けば沢山出会えそうな、🌃
全国に2万人ぐらいいそうな人たちにも見えます。もちろん褒め言葉です。😅

以前から

「今作は『カメラをとめるな!』🎥同様に、無名俳優ばっかりだし、かなりの低予算で作られた映画なのに、かなり面白い。」

って良い評判を聞いてはいましたが、

確かに『カメラをとめるな!』の俳優さんたちにも似た、低予算映画に出演する俳優さんの魅力を感じました。

(このfilmarksのデータによると、主演の皆川暢ニさんのデビュー作はその『カメラをとめるな!』🎥の上田慎一郎監督作品だそうですね…。)

その皆川暢ニさん演じる主人公:鍋岡和彦君に対して、自分は最初は馴染みにくそうな人物だと思いきや、観進めていくうちに、彼の人間臭さが浮き彫りになってきます。😄

それ以外の俳優さんとしては、

・吉田芽吹さん演じる主人公の彼女:ユリさんも、街を歩いてればあんな人はよく居そうです。💅
でも、そういう“よく居そうな人なりの魅力“というか、“普通に良い人の魅力“があります。

ただ、

“ちゃんとした仕事💅はしているみたいですが、ガス🔥と水道🚰と電気💡が止められる“

という彼女の経済状態が心配です。💴

・松の湯の店主:東さんを演じたあの俳優さんも良くて、名脇役として、もっと沢山の映画に出ても不思議じゃないと思います。

・フィリピン人のアンジェラも、終盤に予想以上に話に絡んできてビックリしました。
あぁいうフィリピン人も日本には沢山いると思いますよ。🇵🇭🇯🇵


・あと、主人公:和彦君のご両親が、画に描いたようなおしどり夫婦なのも意表を突かれました。👩‍❤️‍👨

画面の左半分では「これ、美味しいね😋」って言う、ほのぼのした夫婦を映して、

画面の右半分では陰々滅々として悩んでいる主人公を映す、

あの画面構成を観ているとすごく複雑な気分になります。🥴

👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓👓

【でも、それが人間だと思います。】

「観進めていくと、和彦君の人間臭さが浮き彫りになってくる」

と前述しましたが、

その“人間臭さ“って“情けなさ“とも言い変えることが出来ます。😥


ユリさんと恋人関係を解消する時の未練がましさもすごく情けないんですけど、🥺

それもまた、人間だと思います…。😅

特に彼は仕事に関しては、

やっぱり心の奥底では高学歴を鼻にかけてるというか、
プライドが高いというか、
どこか同期のアルバイトの松本君を下に見ています。🤨

序盤のとある場面で、

「え、あいつに仕事を任せて、俺には任せてくれないの❓」

みたいにショックを受けるんですが、その気持ちも分からなくはありません。☹️

見た目とかで人を判断するのは良くないんですけど、

でも、それが人間だと思います。

そして、

暗殺稼業とはいえ、彼が働くことに対してやり甲斐を感じる気持ちも少し理解できます。


初めて高い給料をもらった時に大喜びする気持ちも分かりますが、🤑

それと同時に、

仕事のモチベーションの維持する要因として、金銭も大事ですけど、💴もちろん、それだけじゃありません。

アニメ「呪術廻戦」13話の七海さんとか、

『シェフ 三ツ星フードトラックはじめました』👨‍🍳のジョン・ファブローにも近い、

“自分らしい仕事のやりがいを見つける話“です。

🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸🩸

【実は深い倫理的なことを伝えている作品のようにも見えます。】

あと、自分はやっぱり、今作における松本君というキャラクターが好きなんです。

血🩸が飛び散ると掃除が面倒だからシャワー🚿のホースで絞殺してましたが、あの時点で松本君の人の良さが感じられます。

(自分は一人暮らしを経験しているので(汚れないように)小便をする時も座ってします。🚽
それに近い感覚です。)


“暗殺者が一般人としてまじめに働く話“

って意味では、自分の大好きなデンゼル・ワシントン主演の『イコライザー』を連想しました。
岡田准一君の『ザ・ファブル』もそうかもしれません。

それから、


“人を殺す“ってどういうことなのか❓
“仕事をする“ってどういうことなのか❓

とか、実は深い倫理的なことを伝えている作品のようにも見えて、

少年ジャンプの「暗殺教室」も少しだけ連想しました。

全く正反対の人生を歩んできた主人公:和彦君と松本君の2人が仕事を通じて友情を育む話でもあるので、彼らが仲良くなる過程自体、観ていてワクワクします。😄


最終的に、

ヤクザに脅されて悩んでるけど、正義感と勇気を出して一歩を踏み出せなかったあの人が死んで、😇

正義感から能動的に行動を起こした若い彼らが生き残る展開はすごく教訓的ですし、観ていてスッキリします。😄

🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵🍵

【今まで食ったうどんの中で一番旨かった。🍲】

あと、全編通して食事のシーンが良いです。🍽

前述した主人公の家の食卓や、

序盤の同窓会でサラダを食べる時の侘しさとか🥗

昼間から仕事の話をするのにビール🍻を頼む田村君のいけ好かない感じとか、

ヤクザの田中が作ったオムライスが見るからに美味しくなさそうな感じとか、

も印象に残っていますが、




特に好きなのが、松本君が

「今まで食ったうどんの中で一番旨かった。🍲」

って言う、あのうどんを食べるシーンがすごく好きです。😆

もちろん、あの食事はすごくハッピーなシーンなんですが、

松本君のこれまでの出自を考えたら、それって実はすごく切ない話にも思えます。😢

“ずっとそういう風に生きていくしかなかった孤独な男が、人の優しさに触れて感情が動く“

って意味では

「ONE PIECE」のギンさんとか、
「鬼滅の刃」の伊之助とかを連想しました。

よくよく考えたら、
少年漫画的な要素がふんだんに含まれている作品のようにも思えます。
そう考えるのは自分だけでしょうが…。😅

🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲🍲

【ラストのあの後、彼らの人生は悲惨になってくると思いますが…】

(これは今作を観た人の多くが感じることだと思いますが、)

一見、ハッピーエンドなシーンで幕を引いてはいるものの、

いずれは警察🚨の捜査も彼らに行き着くでしょうし、

ヤクザ🕶を殺しちゃってるわけですからヤクザからも追われるし、

絶対にあの後、彼らの人生は悲惨になって来ると思います。😩


そして、今作のラストは、主人公:和彦君の笑顔を撮ったストップ・モーションで終わります。

“『ロッキー(1作目)』🥊のラストシーンがストップ・モーションなのは、彼の人生においてあの瞬間が幸福のピークなのかもしれないことを暗示している“

という話を聞いたことがありますが、
おそらく今作『メランコリック』の製作者もその『ロッキー(1作目)』のラストを意識していると思います。

もちろん、主人公の言うように、

本当に「それで十分」なのか❓🤔

は観た人によって考え方は変わってくると思いますが、

ただ、今作に限れば、

仮に逮捕されたとしても、

人生において一度でもそんな瞬間があったこと自体、彼の人生は価値があるものなんじゃないか❓

って自分は感じています。
松本君にとっては特にそうだと思います。


客観的に考えると高すぎるスコアかもしれませんが、
でも数年後にこのfilmarksの鑑賞リストを見返して、

「あぁ、『メランコリック』面白かったなぁ♨️」

って思い出すでしょう…。