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響け!情熱のムリダンガムのmsyのネタバレレビュー・内容・結末

響け!情熱のムリダンガム(2018年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

とても良かった…
こんな愛おしい映画に出会えて幸せだ。
シネヌーヴォさんもいい劇場だった。チケットを買う時に、初めてなのですがどの席がいいですか?っていうぼんやりした質問をしてしまったのに、スタッフさんが丁寧に説明をしてくださり嬉しかった。20席くらいの小さな劇場で、他の観客と作品を共有する心地よさがあり、その体験も含めて素晴らしい時間になった。

ムリダンガムとは太鼓のことで、その職人を父に持つピーターの成長譚。
動物の皮を扱う太鼓職人が属する階級では、演奏者になった者はいないそうなので、メーナン監督はそれが変わってほしいという願いを込めてこの映画を作ったとのこと。

監督のインタビュー記事や、日本でこの作品の配給をされた南インド料理店「なんどり」の稲垣さんの話、鑑賞後に調べれば調べるほどこの作品への愛しさが増す。
先週鑑賞をして1週間、YouTubeで予告(すごく分かりやすく、この作品の良さを伝えている)や関連動画を観てました。やっと気持ちが落ち着いてレビューを書いています。

ピーターが主人公補正で天性の腕を持っててテンション上がるしなによりヴィジャイファンクラブの活動が楽しそう。大将を崇め奉る冒頭のダンスシーン大好き。昔気質の厳格な師匠がそれだけではない教え方の上手さや、下町まで自ら出向くフラットさを持つ繊細な描写、その上彼の妻の聡明さや、ピーターの恋人サラが目標を持って生きる描き方もバランス良くて全方位に完璧と言える映画だった。トラブルがあった後のバイク旅のパートは思い出しただけでも涙が出てくる。各地のリズムを訪ねて回る映像が美しい、音楽も優しくて素晴らしい…

https://youtu.be/bDorKQg8Uyc

人を赦し自分を見つめてたどり着いたピーターの最後の演奏。マニの顔もなにか憑き物が落ちたように晴れやかになって白旗を上げた…これこそ新しき世界…あかん…泣くわ…

映画としてベーシックな展開だけど、ただのお涙頂戴ではなく、格調高い。これはどこから来るものだろうか…またしばらく情報を集め考えを巡らせたいと思います。インド映画を観たことがない方にもとてもおすすめ出来る作品でした。インドがある地球に今わたし生きていられることが嬉しい。
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