TOT

ジェリーフィッシュのTOTのレビュー・感想・評価

ジェリーフィッシュ(2018年製作の映画)
3.4
病いがちな母と幼い弟妹を抱え奮闘する15歳のサラ。
学業にバイトに副業、家賃滞納3ヶ月、止まる電気と水道。
ティーン版『わたしは、ダニエル・ブレイク』のような日々で、サラが夢を見出すスタンダップコメディが彼女の地獄の現実も語らせる、辛い辛い良作。
‪舞台になるイギリス南東部マーゲートは、ターナーの美術館に遊園地ドリームランド、夏は海水客で溢れる浜辺がある街。
‪台詞で第2のブライトンとも言われる明るい町の暗い片隅で、少女が苦悩と絶望の中で知ったスタンダップの興奮も束の間、悲痛な叫びが闇に吸い込まれていく。‬
‪サラ役リヴ・ヒルの演技にブリティッシュな反骨と幼さが共存し、母役シニード・マシューズの病み演技も腹立つほどの名演。イライラしながらもシニード・マシューズどこかでお見かけしたなってIMDb見たら、そうだ、去年のNTLive『ヘッダ・ガーブレル』出てましたね。
ただ、キャストや粗筋はいいぶん、演出はスタンダードでちょっと物足りないというか、作家性はまだあまり感じず。
‪Q&Aではフィリピンのキドラット・タヒミック監督が質問し、発展途上国と先進国との福祉と家族の在り方の違い、自国フィリピンだと親戚にまず頼っちゃうかもと話され、監督も今作で父親不在の家族を描いたけど今のイギリスにもこういう家族は多いかもと答えられてたのが印象に残った。
上映後にメトロハット行ったら監督2人連れ立って歩かれてるのを目撃。映画祭だな〜〜。
TOT

TOT