kirito

運び屋のkiritoのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.0
【人は永遠には走れない🚙】

最初の画面から映る、イーストウッドの背中がこの上ない哀愁を醸し出す。
しわだらけになり、足元もおぼつかない老人はなぜ運び屋になることを選んだのか。

俳優・監督として仕事に生きてきた彼は、自らをこの主人公に重ねたのかなと思わずにはいられないプロット。

クライム映画でありながら、かかる音楽が陽気であり、またなによりもドライブシーンの自然豊かな光景が、大量の「麻薬」を運んでいるとは思えないほど、単なる老人の日常映画かと錯覚してしまう。

長年生きてきた老人は最近はやれ「老害」だとたたかれがちだが、そこには今まで自分の人生で得てきた何よりの「経験」があり、「信念」があったりする。
本作では「インターネット」を批判しているシーンが多々散見されるが、何をするにもまずインターネットに頼る現代の我々は、考えることや思いだすことをあきらめ、脳を衰退させていることにまた気づくべきだ。

「麻薬の運び屋」をすることで「家族の再生」につながる。
何も考えなければ=で結ばれることのないこの二つの事象が、本映画ではうまく紡がれている。

結末も含めて、これ以上ない終わり方である。
それゆえに、イーストウッドがこの映画でやりつくしてしまっていないか、、、彼の歳を思うと、そんな一抹の不安が脳裏をよぎった。

※世界一のポークサンドめちゃうまそうだった。
レイニーデーを困ったときって訳すの好きだし、レイニーデーって使いたい(晴れてるよって突っ込まれる。)

2019.4.1
kirito

kirito