ゲタ

運び屋のゲタのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.7
『一つも憧れることなんてないのに。。。』

なんでこうも愛おしい気持ちに
観終わってなっちゃうのだろう、と
そればっかり考えちゃってました。

とはいえ、まず最初に言いたいのは
予告編ではクリント以外には出てこない
まるで独り舞台のような印象に思えてたのに
映画が始まったら、まぁ出るわ出るわの
ビッグネーム俳優達!

彼らをつまびらかに並べて
「豪華俳優陣出演!」のように
本作を売ることもできたろうに

あくまでも本質的なところを大事にして
「イーストウッド映画」としてだけ押している
大胆なまでの英断と心意気に
ただただ拍手を贈りたい。


かつては西部の荒野で、はたまた大都会で
悪党すら恐れおののく度胸と
どデカイ銃をぶっ放しまくりだった
あのイーストウッド御大が

しょぼいチンピラマフィアが取り出した銃に
恐れおののいて言うこと聞いてるんだから
もうそのギャップに笑うしかないのだが
そこにはちゃんと哀愁が漂ってるという不思議。

序盤こそお気楽な
"お爺ちゃん型ロードムービー"とばかりに
粋なロカビリーやらカントリーの曲で
ほのぼのとした雰囲気ながら

徐々に忍び寄る影がどんどんと濃くなるにつれ
醸し出されてくるひとりの老人の悲哀と
家族に対する思いが絡み合って
なんとも言えない風味が醸成されていきます。

そのあたりはやはり
イーストウッドの最近の真骨頂なのかな、と脱帽です。

ヴィンテージのワインのような
じっくり時間をかけて醸し出される風味を楽しむ、
なんとも味わい深い2時間でした。

[19:00]映画ランド試写会にて

p.s.
その後の宣伝で「豪華キャスト出演」ってやっちゃいましたね。
主人公の女遊びよろしく、宣伝側も我慢しきれなかったのかと思うと残念無念w。ま、その気持ちは分かるケドね。
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