超ハラハラドキドキ系モンスター映画で家族もの。とても上手でスリラーのお手本みたいな映画。
怪獣やモンスターとは社会的問題の象徴として描くと面白くなる。が私の持論。
ゴジラは核、エイリアンは性、ロメロゾンビは資本主義社会など、名作はしっかりとした基盤を持った背景がある。
しかしクワイエットプレイスのモンスターは舞台装置でしかないため、1作目はとてもよく出来ていたのだが何かが足りなかった。
この2作目も家族ものとしてもモンスタースリラーとしても演出は一級品なのだが、モンスターの背景は説明されない。
ロメロは説明しないことで、あらゆる人間の業と社会の歪みをゾンビに映しこむことに成功していた。
このクワイエットシリーズは、ディスコミュニケーションに陥った社会を表し、見ること、聞くこと、を通して人間の絆を表してきた。その手腕は優等生的で技術力は半端ない。素晴らしい演出だと思う。
しかし、肝心のモンスターの生物的背景が何もなく、何を目的にしてるか匂わせもしないため、ゲーム的な舞台装置にしかなっていない。
彼らが何故、宇宙から来たのか?
何故、目が見えないのか?
何故、人を食べずに殺すだけなのか?
そこに科学的根拠も、象徴的な背景もない。
それは目のないダルマのようだ。
極めて高い技術力だからこそ、核心の部分がないことに疑問と悔しさが残る。
そんな誉めてるのだか、けなしてるのか分からない感想になってしまった。
願わくば3作目はモンスターに焦点を当ててコミュニケーションの大切さを教えてほしい。そうすれば1作目も2作目も含めて複合して傑作と呼べるようになるかもしれない。
そんな最高にハラハラするし家族ドラマにも感動できるけど、ど真中に穴が空いたような不思議なシリーズでした。