このレビューはネタバレを含みます
人間心理の深層を抉り出す、見事なブラックコメディ(実話)。
他の方がレビューで触れていないが、大変滑稽に見えたのが、収容所での処刑(虐殺)権限をめぐるドイツ法務省との、官僚国家らしいやりとり場面。何しろあれだけ東部戦線やユダヤ人に対し、処刑どころでないジェノサイドを際限なく行ったナチスが大戦末期に至っても、「ドイツ人同士では」法務省の権限が及んでおり、勝手な判断での処刑が出来なかったのである。
ぶっ飛んでるのは主人公だけではない。どう見ても笑うタイミングで爆発四散するドイツ軍版ビフ・タネン、この期に及んでマジメに仕事する法務省もアホなら、終盤主人公を尋問する面々の「どうでもいいや」末期感も素晴らしい。
全てが馬鹿馬鹿しくなる、戦争の本質を突いたブラックコメディ。