ハレルヤ

ちいさな独裁者のハレルヤのレビュー・感想・評価

ちいさな独裁者(2017年製作の映画)
3.9
1945年4月のドイツ。敗色濃厚のドイツ軍から逃げ出した脱走兵のヘロルト。逃走中にナチス将校の軍服を手に入れた事で、大尉になりすます。大きな権力を手に入れ、常軌を逸した行動を取るようになる実話を描いた戦争映画。

いやーかなりの胸糞悪い映画。これが本当にあった事というのも驚き。当時まだ21歳の若者がよくここまで上手く多くの人を騙しながらやってこれたなという。ヘロルトの立ち回りの巧さ。狂気に取り込まれていく姿もなかなかの見応え。演じたマックス・フーバッチャーの演技には凄みがありましたね。

本作でのヘロルトの立場。これは正直誰がなってもおかしくないと感じました。戦争という異常状況の中、大尉の軍服を着てるだけで誰もが自分の思い通り。気に入らない奴は容赦なく殺す。自分の身を守るためなら平気で嘘をつく。自分なら絶対こんな風にならないと思っていても、あの状況下なら100%間違いないと言い切れないのも事実です。

軍服を通じてただの若者が残虐な独裁者へと変貌していく。まさに独裁者の作り方を見せてもらった気分でした。今までの戦争映画でも珍しい視点の映画。見てて嫌な気分になりますが、完成度は高い作品です。
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